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油断するなここは戦場だ

熱い宇宙 :1) の解説

光の波長とそれがもっているエネルギーのあいだには
逆比例の関係があって、波長の長い光ほどエネルギーが低い。
このことから、宇宙は膨張していると宇宙の温度も変わっていくことがわかる。

量子力学では粒子は波だけど、波が乗ってる宇宙の大きさが大きくなると
それと同時に波長がどんどん長くなる。ゴムがのばされたみたいに、宇宙と
いっしょに波がびよーんとのびるのだ。

波長が長くなると温度が下がる。遠くから来る星の光は宇宙を旅する
間にどんどんエネルギーが下がっていく。
これが赤方変位というもので、すごく遠くの星とわれわれの間の距離は、
星の光がわれわれのところにくる間にどれだけ温度が下がったかで決める
ことができる。


逆に宇宙のはじめにさかのぼると宇宙はどんどん熱くなる。

宇宙が始まってだいたい一秒くらいのときの宇宙の温度は
約 1MeV 〜10^10 K という温度だった。このくらいの温度
のなかに今の宇宙にある物質がほうりこまれると、
原子核がばらばらに壊れて、陽子と中性子に分かれるし、
電子とその反粒子の陽電子もむちゃくちゃにつくられる。
電子の質量は 0.5 MeV だから 1MeV の光の衝突でどんどん作られるわけ。

さらに100倍温度が高くなると、
原子核のなかにあるクオークとグルオンが、ばらばらになって
くるし、反クオークもつくられる。(グルオンは自分自身の
反粒子なので、反グルオンおちう言い方はしない)

さらに温度が高くなったらどうなるだろう。陽子や中性子より重い粒子は
素粒子実験でつぎつぎと発見されている。 charm クオークは 1.5GeV
(1GeV はだいたい陽子の質量)bottom クオークは5GeV , top quark は
175 GeV. W 粒子や Z 粒子というのは力を伝える粒子で質量は80GeV
と91 GeV. 素粒子実験であたらしい重たい粒子を発見するっていうことは、
宇宙のはじめにいた素粒子を見つけていくということだ。

ダークマターは素粒子実験で作り出したり存在することを証明したりという
ことはまだできていないんだけど、宇宙の温度がダークマターの重さより
高いときには、ダークマターも宇宙にたっぷり存在していたに違いない。



by mihoko_nojiri | 2010-06-26 23:28 | 宇宙物理

physics at LHC
by mihoko_nojiri

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