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油断するなここは戦場だ

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対策すべき被曝量(福島の場合)

福島県内の多くの小学校のグランドで高い放射線が観測されています。この様子がよくわかる図を 石原先生( @Ishihara_Y ) が作ってくださいました。

これは学校の校庭における「空間放射線量」の測定の結果を地図の上にあらわしたものです。例えば地図上赤い場所は5μSv以上 がでた場所から半径5Kmのエリアになります。実際の測定点は一つでもその周りも高い可能性があるからこういう色づけがされています。実際には学校が密集しているところでは、学校ごとに値がばらついています。複数の小学校があるときには平均化した値で色が決まっています。いずれにしても自分のお住まいの場所が値が高いゾーンにはいっていれば、学校だけでなく自宅周辺の土などに放射性物質が比較的多くあると考えるのが妥当です。小学校ごとの値はこちらに可視化されています。

非常に高い値ですから、健康との関係が問題になります。今回計られた値はグランドでの値で、一般的にコンクリートの建物の中では 1/10 程度、木造家屋で 1/2 程度放射線量は少なくなります。つまり一日に浴びる放射線量はどのような場所で何時間すごしたか、で変わってきます仮に一年間校庭で過ごすとして計算してみます。2μSv/hを一年中浴びると年に 18mSv、4μ Sv/h なら 36mSv になります。これはどのくらい健康に影響があるかという疑問はだれでももつと思います。白血球が減少するといった害が出るのは、年200mSv レベルの被曝の場合で、 20mSv はそれよりかなり少ない値です。しかし発ガンの確率が上がります。

ここから先は非専門家の計算ですので、もう少し詳しい方の意見をうかがっていきたいのですが、ともかく計算を始めてみます。 積算で 100mSv 浴びると生涯の発ガン率が 0.4 % 上がるとされています。http://bit.ly/g9S45d(一宮氏によるスライド).これは一度に100mSv を浴びた場合の発ガン率のデータが根拠になっています。すこしづつ浴びた場合は、同じ積算でも影響は少ないという考え方はありますが、ここではリスクは積算線量だけによるとします。

放射線量は現在すでに地上に落ちたセシウム(半減期30年)からくるものが大半ですので、これからほぼ一定だとして、20mSv を10年あびる状況を考えます( 2μSv/h 程度)積算で 200mSv となりますから、発ガン率でいうと 0.8% になります。これは大きな量でしょうか、小さな量でしょうか。何と比較して大きい小さいを議論すべきでしょうか。

わたしは比較すべき値は生命表にあると思います。(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/20th/index.html) 完全生命表はそれぞれの年齢層でどのくらいの人数が死んでいくか、ということを統計的にもとめた表です。この表によれば、生まれたときに10万人いた男子は1年たつと 99702人 になり、20歳の時には 99285人 、30歳の時には 98636 人、40歳では 97676人 になります。

最初の一年は先天性の病気のために死亡リスクが高いので除外しますその後40歳くらいまでの間は人はほとんど死にません。一才の時から20歳の時には0.4% の人が、30歳までに1%の人が、40歳までに 2% の人がなくなります。ここに放射線の影響が積み上がります。0歳から10歳まで20mSv を10年間浴びて、
30歳〜40歳の時にその0.8 %がガンを発病して深刻な健康被害がでるとすれば、この生命表の数字に目に見える変化が表れます。もちろん、いろいろな仮定を積み上げた計算です。平均的な発病時期がもっとおそく 50歳くらいであれば、影響は少ないと考えられます。子供と大人では放射線の影響は異なる可能性があります。また、1% しか違わない」と思う方もいるでしょう。これは小さい数字と思うかどうかは、みなさんの判断にまかせたいと思いますが、一つはっきり言える事は、子供〜壮年の方のうける影響をそれがなかったときの死亡リスクと比べた的の重要性は、 60歳の方のそれに比べるとはるかに重要だということです。

現在、学校の校庭での積算の放射線量を10~ 20mSv以下の値にするように国の基準を決めようという話になっていますので、黄色から赤のゾーンで何らかのとりあえず使用制限などの対策がされるべきだと思います。そしてわたしは是非被曝量を下げる対策をしてほしいと思います。恒久的な放射線対策として比較的簡単なのが、客土です。例えば校庭の土であればそっくり5cm ぐらいはがして入れ替える、ということをすれば、新たな放射性物質が降らなければ、学校が「安全ゾーン」になるわけです。もちろん継続して観測していくことが必要です。

福島市、郡山市では市一帯で値が高いですから、日常生活全体を考えた時の積分線量を考える必要があります。子供の動きは大人とかなり違います。地面の上に座り込んだり、寝転がったらり、思わぬところにいったり
するでしょう。普通の空間線量で推定できる値と全く違う被曝をする可能性は常にあります。一番確実なのは、フィルムバッチのように、個人の受ける放射線量を測定できるものをつけて、数ヶ月の積分線量を実際に測定してみるということだと思いますが、とりあえず学校や家庭で放射線を詳しく測定して、地域全体の安全を確認する必要があると思います。例えば、砂場にいったあとは手を洗う、水たまりなど放射性物質がたまりやすい場所にちかづかないといった対策が、役にたつかどうかわかると思います。

あまりに値が高い場合には、対策がとられるまで移動するべきだと思います。飯舘村などは右の真っ赤なゾーンにあり 10μSv/hがでているところもあります。これだと100mSv/年 近くになってしまい室内にいると線量が少ないなどの条件をいれても内部被曝で100mSv/y を越えてしまいます。特に若い方が長期にいるべき環境ではないと考えます。

対策にはかなりのお金がかかります。客土の費用、避難によって生活、仕事の場所を失うことにともなう損失、精神的な被害もあるでしょう。地震は自然災害ですが、この原発事故は自然災害ではありません。責任をもって、この費用を負担しなければならない対象は東電と国(あるは国民)であると思います。国は原発を審査し、認可し、定期的に評価を行って、連帯して原発の安全に対して責任を負ってきたという事実を忘れず、早急に対策を明らかにするべきだと思います。

なお、被曝の影響については  http://www.rerf.or.jp/rerfrad.pdf http://www.icrp.org/docs/Low-dose_TG_rept_for_web.pdf などの文献も参考になると思います。

# 計算が違っているのではというコメント(もう承認しません)をぽつぽつ頂いているのですが、例えば、http://www.remnet.jp/lecture/forum/sh07_04.html  に 200mSv の過剰リスクが 1% とありますので、 order は違わないと思います。ここに児童の場合の数値もあります。正しい数字をだすことは本稿の趣旨とちがいますので、これ以上のコメントはご容赦ください。

#また、しきい値モデルが正しいのではないかというコメントも多数いただいています。icrp の report http://www.icrp.org/docs/Low-dose_TG_rept_for_web.pdf のFig. 2.2 では 0.2Sv までは線形モデルで良く、その下のデータはないと認識しています。安全側に立ては線形モデルがいいという理解であろうと思います。これについては別の場所で専門家の詳しい議論をして頂ければと思います。
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by mihoko_nojiri | 2011-04-18 22:56

片対数グラフと飯舘村の安全

早野先生のよく tweet されているグラフの中に片対数グラフがあります。一目盛りごとに1, 10, 100 と桁の違う数字がかいてあるグラフです。このグラフの読み取り方が分からなくて困っているかたは多いようです。
対数については以前から説明考えろといわれていましたので、いい機会ですから この図  を例に比べてみようと思います。

片対数グラフは大きな量とすごく小さい量を同じグラフに書くときに使います。たとえば、今筑波で は 放射線は 0.1μSv くらい、福島県内だと 数 μ Sv だとします.いろいろな場所で値は大きく変わるけれども、日ごとの変化の比率はほぼおなじです。例えばヨウ素はつくばでも福島でも 8日で半分になりますから、この共通の傾向を一つのグラフの中でみたいとき、また、原発から放出があった時は違う場所でにたよう比率で放射線が増のを(たとえば、福島では2→4の時に 筑波では 0.1→ 0.2といったように)こ同じグラフでみたい時に片対数は便利です。

早野先生のグラフ ( http://plixi.com/p/89685373 )の図の上の段をみると、福島と飯館村の値しかみえません。他の場所で値について同時に考えることはこの図では不可能です。また福島市の値は図の右のはしでは、横浜のものと同じようにしか見えません。一方下の図では横浜や水戸の値が同じグラフで見えるだけではなく、いろいろなピーク構造や、雨による放射線の増加までよみとることができます。非常に広い地域の放射線量の分布を比較したい時に片対数グラフを使うのです。(下の)片対数グラフを慣れていない方ががみるときに 一番上の線は1万円札、2番目の線は1000円札、次いで100円、10円、1円だと思うとわかりやすいと思います。福島の放射線は1000円クラス、横浜や水戸の放射線は1円クラス、ということになります。


最近注目されている放射線分布のシミュレーションの等高線もこの 対数目盛りをつかっています。色の一番濃いところを一万円、色が薄くなるたびごとに何分の1かになっていくようなグラフです。これは非常に大きな影響を受ける地域と軽微な影響を受ける地域を同じ地図の上に表現する手法です。いろいろな誤解を生んで騒がれたドイツのシュミレーションや気象庁から発表されたシミュレーションの結果は一番高いところの数字を勝手に「1万円」ときめて計算したものになっています。その図で一円に対応する区域は日本を大きく覆いますが、原発で放射線の大気中放出がない限り、実際に観測される線量はく問題にならない数字です。政府や報道に携わる方はぜひとも計算の意味が伝わるような工夫をして頂きたいと思います。

対数グラフにしたときの放射線の値の大きさは、われわれの健康に対する深刻度の違いでもあります。もしも一時間に 100μSv浴びる地域にいれば、一日で2.4 mSv 一年間で 880mSV 被曝します。福島原発で働いている方の作業環境はいろいろな防護対策をされていても100μSv/h に近いでしょう。一方10μSv/h であれば 一年間で 88mSv です。このくらいの値の放射線を毎年のようにあびていれば、ガンのリスクを相当程度あげるといっていいでしょうが、今すぐ病気になる値ではありません。一方で東京圏の放射線はそのさらに2桁下となり、ほぼ自然放射線と同等です。私が twitter 上で、「もっと福島のことを考えよう」、と時々つぶやいているのはそのためです。

原発の30 Km 圏内でもなく、現在も人がいるエリアで毎日10μSv の放射線にさらされている場所があります。飯舘村後方支援チーム「飯舘村周辺放射能汚染調査暫定報告の発表と対策について」では、高濃度の汚染が報告されています ( http://bit.ly/ewH5Nj )村南部の曲田地域ではもっとも放射線量が高かった時は ~100μSv/h と推定され、 現在でも10μSv/h を遥かに越える線量になっています。完全に屋外にいた場合、やや放射線の少ない村役場でも 現在の積算は15mSv になる勘定です。家屋内ではやや軽減されますが、10mSv をめやすに対策されるべき妊婦や子供の健康にとってすでに問題となる量をいえるでしょう。ヨウ素からくる放射線は 8日で1/2に減っていきますが、半減期30年のセシウムがあり、今後放射線のレベルはそれほど大きくかわりません。村役場で汚染がはじまってから90日の積算は 30mSvと予想されています。

早急な対策が必要なはずですが、動きが大変鈍いのが心配です。たまたま目にした4月5日の県の資料では、飯館村村役場の1時間辺の放射線量 5.93 μSv を、X 線検査の一回の被曝量 600μSvと比較して、十分少ないから安全であるというコメントすらついていました。 ( http://ow.ly/4t36t ) 県には、支援チームの勧告の内容を理解して、今すぐ対策をとっていただきたいと思います。
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by mihoko_nojiri | 2011-04-06 00:07

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