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油断するなここは戦場だ

とくダネの給食番組について

先日フジのとくダネである学校給食センターで、食品の納品段階で放射性物質をはかる取り組みを紹介していたとききました。空間放射線量が 28cpm のときに食品にALOCA の線量計をあてて3倍程度であれば使わないということだったと聞いています。これはあまり意味のある取り組みと思えないので、そのことについて説明したいと思います。

食品の測定の場合一番大事なことは、遮蔽、つまり外からくる放射線を遮断して、食品からの線量だけを測定することです。

これは以前に早野先生がだしておられた食品中にセシウムが入っている時の放射線量ですが、現在の暫定基準いっぱい500Bq/Kg だとして表面線量で最大0.03μSv程度しかないとわかります(http://twitpic.com/5oamfb) 実際には LB2045 のように食品検査装置にいれて測る時は、量が少ないため線量はさらに小さくなります。


空間線量が食品の出す放射線より十分多い場合、遮蔽が必要になります。

しばらく前のエントリーでウラン系の放射性物質がたくさん入っている肥料の話をしましたが、この肥料に宇都宮さんのガイガーを密着して30.2cpm、一方で 空間からの放射線量は 19.3cpm. でした。これは400 カウント程度の背景放射線で測っているので誤差は 5% 程度と明らかに有意な差があります。

食品の場合は基準値程度の食品では放射性物質が少なく、さらに食品が空間からの放射線を遮蔽する効果があるために、空間線量が多い場所では測定そのものができなくなってしまいます。

例として同じガイガーでワカメのK40をはかろうとした時は( http://twilog.org/Mihoko_Nojiri/date-110824)ワカメで測定器を覆ったのでは、線量は増えるどころか、かえって下がってしまいました。

こういう時は遮蔽の出番です。線量計を鍋にいれると空間線量から30% ほどカウント数が下がります。20分ほど空で測って288 カウント、ワカメと一緒に測ると312 カウントになります。これで誤差が 17 くらいですから、やや多いと言えるかもという程度です。いわゆる検出限界は誤差の3倍ですから、検出するにはさらに4倍程度の時間をかけてはからなければなりません。

簡単にいえば食品の線量を測るには、その食品の遮蔽効果を上回る量の放射性物質が入っていることが必要だ、ということになります。LB200, LB2045 のような食品の測定装置に1.5cm から5cmの鉛の遮蔽がついているのは、空間線量を十分に下げることで食品から出る放射線を際立たせることが目的です。

なぜ線量計を当てるだけの検査が給食センターに導入されのかわかりませんが、効果はほとんどないでしょう。ヨウ素が多かったころの対策かもしれませんが、マニュアルを過信するのではなく、状況の変化に応じた対策をして欲しいと思います。給食センターに独自のベクレルモニターを導入するのは良い対策のように思います。またこのような取り組みが何か効果があるかのようにテレビで取り上げられたことについても、テレビ局の勉強不足なのではないかと思います。
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by mihoko_nojiri | 2011-10-02 17:50

physics at LHC
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