油断するなここは戦場だ

「見つからないって素晴らしい」

まじめな話はここまでにしてネタポスト。

「最初の一年で何もみつからないハドロンコライダー実験」ってのは実はとっても素晴らい。今LHC 実験データをみて感銘をうけるのは、「理論的な数値計算の予言と実験があっている。」ので新粒子にすぐに制限をつけることができることだ。

昔は ハドロンコライダー実験は現象がきちんと理解できないからといって毛嫌いすることが人が多かった。昔昔 UA** 実験というハドロンコライダー実験では事前に想像されていたいろんな粒子(含超対称粒子)を見つけたと言ってしまい、後から全部取り消しになった。今から17年ほど前、そう、SSC 実験が中止になる数日前に、ハドロンコライダー関係の会議のバンケットで、ある有名な理論の研究者が、居並ぶCDF D0 実験(テバトロンの陽子反陽子衝突実験)の研究者の前で

「明日はSSC の大事な投票の日ですが、
私はハドロンコライダー実験のデータは信じない」
(ママ)

と発言して、泣きたくなった記憶がある。実際SSC 実験が計画されていたころには、ジェット(クオークやグルーオン由来の粒子の束)の数が多くなるとまともな理論計算ができない状態で、 電子陽電子衝突をやっている研究者がその点についてことさらにつっこみをいれたりしたものだ。

このような状況が改善されたのが、quark が最終状態に多数あっても計算ができる ALPGEN , Sherpa, Madgraph などの数値計算コードの開発だ。このような計算が一般的になったのは、ごく最近、ここ5年ほどのことである。SSC 実験がもし予定とおり2000年に始まっていたら、実験と理論の差は大きくよくわからないものがたくさん発見されていただろう。

日本の実験グループはアトラス実験の中でもこのようなコードで計算できる高次効果を取り入れた BG の解析でリーダーシップをとっている。日本の理論でこの手のコードの最初のユーザーは私で(これは実験グループに触発されたところが大きい)標準模型のプロセスの計算だけでなく、超対称粒子の生成と同時にエネルギーの高い quark や gluon が同時生成かれる過程の解析(例えば Novel reconstruction technique for New Physics processes with initial state radiation. Phys.Rev.Lett.103:151802,2009.)は研究の一つの柱になっている。また今年の9月にはこのような先端的な数値計算コードのスクールが日本で開催される予定である。
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by mihoko_nojiri | 2011-03-09 22:44 | 物理

physics at LHC
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